コーナータイトル

バターは宝。

お茶碗に盛られたアツアツのご飯の真ん中を箸でグリグリと穴をあけ、トンネルを作ります。
そおっとバターを埋蔵します。バターの塊がトンネルに比べて多少大きすぎてもトロリと溶けてストンと落ちる。穴の中にバターが収まったら、ご飯で穴をていねいに塞いでしまいます。一見、ただの白いご飯にしか見えない。味の素なんかをドバドバとかけて、お醤油をタラリ。「またぁ、お兄ちゃんたら」夕食を食卓に並べている母が僕をにらむけれど、笑顔です。「あ、わたしもやるーっ」妹が僕の手からバターナイフをとりあげる。「もうあんたたちったら」「えへへっ」
まだ日本中が貧しかったあの頃、我が家の食卓で味わうことのできた、ささやかな贅沢でした。

白いご飯に丸くお醤油の一筋を見つめていれば、お茶碗の奥に隠されたトンネルの、バターがジワリジワリと溶け出して広がっていく秘密に、僕は、たとえようもなく幸福だった。そう、バターは宝だったのです。
やがていつのまにか食卓のバターはマーガリンに変わって、さすがにマーガリンじゃ秘密のバターご飯は作れなくて、僕の宝ものは遠くなり、大人になってほんとうに長い長い時間が経って、宝は消えた。

でもね、今だってその気になれば鮮明に思い出すことができるのです。ご飯をかきわけてお茶碗の奥の方を見てみると、思った通りだ、バターがすっかり溶け出して、あたりのご飯が黄金色に輝いて、そこへお醤油と味の素が混ざり合い絡み合い、なんとも言えぬ美味しさ、幸福。宝物の記憶。

フランス料理やお菓子を作るヒトにとって、バターはなくてはならないものだから、そのためだけだってバターの安定供給は守るべきと思うけれど、僕にとってはバターは宝。幸福の記憶。
人生の最初期に「食べることは幸福」と教えてくれたバターです。
こんな歳になって、たしかにバターご飯を毎日食べたいと思うわけではないけれど、スーパーマーケットに行けばいつでも会える、そんなバターでいてほしい。そう思います。

takahash

たべるのForum  2008年7月28日 11:28

コメント(1)

チャオ! takahashさん

ご飯茶碗の真ん中に光輝く黄金色の宝物。
それはバター・・・
「バターは宝。」この記事を拝見してその情景が
目に浮かんできてしまいました。

takahashさんがコメントされていた
バターに対する思い入れが何であったのかが
やっと分かりました。
そういうことだったんですね!
確かに昔はバターは貴重品だったのでしょうね。

このバターご飯なんですが、実はわたくしフランシス
苦手なんです。
バターは昔から大好きなんですが、何故かこのシンプルな
バターご飯が食べられないんですよ。

ときたまその話題になったときに実はバターご飯は
苦手なんだあって言うと何故か決まって、
「お前顔がバタくさいのに食べられないのか?」って
必ずってほど突っ込まれます。
しょうゆ顔ではないとは思いますが、何なんでしょうね?
バターライスは全然OKなんですけどねえ・・・
自分でも不思議です。

あと日本人の大好きな「じゃがバタ」もあまり得意では
ありません。
あのトロリと溶けたバターがダメなんでしょうか?
でも、札幌で食べた「味噌バターコーンラーメン」には
もちろんバターが入っていましたが大丈夫でした!
いったい何なんでしょうね?
自分でも不思議です。
エスカル・ブルギニョンを食べたあとのエスカルゴバターは
ちぎったバゲットに付けて食べるの大好きなのに・・・

以外に自分では気にしていなかったバターですが、
よく考えてみると日本ではバターはラーメンの中にも入り、
居酒屋などで「コーンバター」やら「じゃがバタ」などにも
使われていて、日本人にとっては非常に身近な存在であり、
日本の食文化には必要なものだと改めて感じました。

今回開設された「たべるのフォーラム」のテーマとして
挙げられなかったら気づいていなかったかもしれません。

選挙ではないのであえて自分が選んだ候補をばらしますと、
「バターなしの人生」をクリックしてしまいました!
でも、もしこのまま日本からバターがなくなってしまったら
自分は困らなくてもこれだけバターに頼ってしまうように
なった日本の食文化への影響は計り知れないと思います。

バターは宝。幸福の記憶。
そんなtakahashさんの幸せなだった記憶が
いつまでも残るように

そして
バターは宝という時代にまた戻ってしまわないようにも
バターの安定供給をなんとか政府にも頑張ってもらいたい
ものです。

posted by 天野 雅 フランシス  2008年7月30日 13:33

 
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