| スクランブルエッグ レシピ 文豪 |

文豪マルセル・プルーストといえば「失われた時を求めて」。
読んだことはないけれど、作中の料理が載っている「プルーストの食卓 〜失われた時を求めての味わい〜」という本があると聞けば、見てみたくなるもので、さっそく図書館から借りてきました。
ぱらぱらとページをめくっただけで、「失われた時を求めて」のイメージを視覚化したであろうゴージャスな雰囲気が伝わってきます。引用と要約と解説、豊富なカラー写真と料理レシピ。紹介されている料理の中から、なにか作ってみるとしたら、やはりマドレーヌでしょうか。
紅茶に浸したプチット・マドレーヌを味わった瞬間、美味なる快感がわき起こり、幼少期の思い出があふれ出すという「失われた時を求めて」においては重要な食べ物のようなのです。
しかし、貝殻のマドレーヌ型は持ってないしなあ。
さらにページをめくると、ん、日本風サラダ?
材料を見ると、じゃがいも、セロリ、ムール貝と、取り立てて日本的なものはどこにもないのに、日本風になっています。どうやらジャポニスムがもてはやされたベル・エポックの時代、とりあえず日本風と言えば優越感に浸れた社交界の人々のスノビズムを端的に現している一品のようで......。
こんなん作ってもなあ。
で、目にとまったのが、ベーコン入りスクランブル・エッグです。本文のくだりがこれ。
「その喜びは、スクランブル・エッグの金色の波間に半ば呑込まれて容易に見えなかったベーコンの小艦隊の発見のためにかきたてられたもので、やがてめいめいは進んで、この沈没しかかった艦隊を引き上げる役を買って出ることだろう。」
ベーコンに目がない人たちの視線が、卓上のスクランブルエッグに注がれているのがわかります。
よし、スクランブル・エッグを作るぞ!
と作り方を見ると、卵を炒めるのにフライパンではなく、ソース鍋を使っています。長らくスクランブル・エッグはフライパンで作るものと思い込んでいたのですが、鍋で作るといいんですね。材料は少なめに作り方もちょっと手抜きでのぞみます。
準備するのは、ベーコンブロック50g 卵3個 バター10g、塩・こしょうのみ。
まず、ベーコンブロックを「小艦隊」のごとく細切りにし、フライパンでカリカリに炒めておきます。
次に卵をボールに入れて溶きほぐし、塩・こしょうで調味します。
それから厚手のストウブ鍋にバターを入れて弱火で溶かし、溶き卵を流し入れたら、すぐにかき混ぜます。とにかくかき混ぜる。たまに火からおろしながらかき混ぜて、クリーム状になったら火からおろし、なおも余熱で固まらないようかき混ぜ続けます。これで完璧。
お皿に移し、ベーコンを沈没しかかった艦隊のごとく浮かべて、出来上がり〜♪


うふふ、ホテルの朝食に出てくるようなとろんとろんのスクランブル・エッグになりました。今までのような半熟の炒り卵もどき(フライパンで作るとどうしてもそうなってしまうのです)じゃありませんよ。
では、小艦隊を救出しつつ金色の波間ごとすくっていただきまーす。
ん〜、卵の味が濃い。ベーコンが効いている。
いやあ、「プルーストの食卓」で、スクランブル・エッグの作り方のコツが習得できるとは思ってもいませんでした。しかも、本書を読まずして、上流階級のテーブルについた気分になれるなんて。
これを機に大作「失われた時を求めて」にもチャレンジしてみようかしら。
セニョーラ・あ〜



