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きんつば始末

家でたべるの きんつば  デザート  小豆   

東京の和菓子の中で、マイ・フェイバリット・ベスト3をあげるなら、虎屋の羊羹「夜の梅」、空也の「最中」、そして栄太郎総本舗の「きんつば」。
もてはやされる菓子は世の中に多いけれど、「女心と秋の空」ほとんどが忽ち飽きられ消えていく中で、これら時代を超えて名高い銘菓にはそれなりの理由がある。数多ある菓子の中で「おいしい」が図抜けている。ましてや、家庭で作るお菓子とは世界が違う、次元が違う。

最近すっかりパティシエづいている私ではあるが、さすがにこのクラスは聖域。自分で作れるとは思えなかった。ただね、「きんつば」にはちょいとだけ色気があった。
基本的には小豆をつぶ餡にして固め、小麦の皮で包み、ごま油で焼く。これだけなのだ。

江戸時代からの栄太郎総本舗「きんつば(金鍔)」は、まさに刀の鍔のかたち、長円形。
徳太樓や一元屋のように明治以降に生まれた「きんつば」は四角い形。
WEBで調べていたら、なんと、たこ焼き器で作る「きんつばボール」なるものを発見。さすが平成21世紀だ。これだ。これなら作れるかもしれない。

「きんつば」の名品にはもう1つ。日本橋の水天宮近く清洲橋の袂に「三つはし堂」という小さなお店があった。三つはし堂は、もともとは製餡所であったそうだが、ここの「きんつば」の小豆餡は寒天を使っていなかった。製餡所としてのプライドなのか、厳選、丹精した小豆のうまさをストレートに提供していた。
どうせなら寒天なしの「きんつば」を作ろう。
たまたま貴重な「和平栗」をいただいたので、もう一つ「栗きんつば」も作ってみよう。

小豆のつぶ餡
一晩水に浸しておいた小豆を火にかけ、沸騰したらザルにあけてお湯を切りアクを抜く。
その後再び水を入れ沸騰したら10分弱火。火を落として15分。小豆に水分を染み込ませ、また沸騰させる。これを2回ほど繰り返すと小豆は指でフニャッと押しつぶせるほど柔らかくなる。
もう一度ザルに空け、水分を切る。このとき取り除いた水分=汁は、お汁粉に使えます。

小豆とほぼ同量の砂糖と少しの塩を加えて煮詰めていく。水を切ったはずの小豆から水分がワッと出てくる。その分砂糖の甘味が小豆に染み込んでいく。焦がさぬよう、粒を潰さぬようが煮詰めていく。すっかり水気がなくなったら完成。粗熱をとり、冷やしておく。

栗餡
いただきものの「和平栗」の皮をむいたものを茹でる。10分ほどで箸が突き刺さるぐらいに柔らかくなるのでお湯を切り、あらためて栗の重さとほぼ同量の水、たっぷりの砂糖、少量の塩を鍋に入れて甘露煮にする。こちらも焦がさぬよう、すっかり水気が無くなるまで煮込んでいく。

普通の「栗きんつば」は小豆餡の中に栗の甘露煮を1つ2つ入れてあるのだが、今回は甘露煮にした栗を潰して、100%栗の餡にする。

小豆餡、栗案を球形に固める。
寒天は使わないで、餡をラップで包んで、ギュッと絞って、球形にまとめる。たこ焼き器を使って生地を焼くつもりなので、たこ焼きの大きさに餡を丸める。

小豆餡も栗餡もほんのり温かいうちに球にしておき、置いて冷ましておくとけっこう球形が定まる。

生地
薄力粉大さじ5、白玉粉小さじ3、砂糖小さじ3、水大さじ5の割合でボウルの中で混ぜ合わせる。白玉粉の粒がなくなるよう良く混ぜ合わせる。

たこ焼き器を中火にかけ、ごま油をひいた穴に、生地をくぐらせた小豆餡、栗案を投入。焼いていく。
子供の頃から何度となくたこ焼きを焼いた経験があるので簡単に思っていた。
たこ焼き器に付属の鉄串でクルリと、クルリと・・・。それがうまくいかない。
生地がたこ焼き器の穴にくっついて、鉄串を動かすたびに小豆餡が、栗案が、ボロボロに崩れていく。
うわっ、なんてことか。
新しく買ってきたたこ焼き器に油が馴染んでおらず、うまくいかないのだった。
一個また一個、小豆餡と栗案の球がグチャグチャに崩れていく。

たこ焼き器を諦めた。テフロン加工のフライパンで生地を焼いていく。
う〜ん、まずまずの出来。計画した球の形にならないが、生地が焦げ付かない、餡の球が崩れないだけマシか。

どうにかまともな形で焼けたものを器に盛ってみる。
たこ焼き器が使えなかったのは残念であったが、自家製の「きんつば」とにかく完成。
食べてみる。皮が薄いのは良い。手作りの小豆餡のおいしさは格別。
和平栗の香りの良さ、食感の心地よさはさすがだった。

しかし、やはり「きんつば」を家で作るのは、難しいものなのだということもよく分かった。
名店と呼ばれる店の「きんつば」の素晴らしさをあらためて実感したのだった。

 

takahash  2015年10月30日 19:22

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takahash

演出家(CM・映像)

TV広告を作り続けて30年。世界を食べたつもりが世界に食べられたのかもしれない。
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