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コーナータイトル

ソース・ヴァン・ルージュの謎

家でたべるの フォンドヴォー  ブールマニエ  牛もも肉のロティ 

牛もも肉のロティです。ソースはヴァン・ルージュ。
ほんとうなら牛もも肉のロティで記事を書くところ、今回もやはりソースの話しです。

赤ワインソースの本命、ソース・ヴァン・ルージュは、フランス料理の中でもとてもポピュラーなソースですが、不思議なことにアントナン・カレームが分類したフランス料理の4大ソースにも、その後のエスコフィエが整理し直したフランス料理の5大ソースにも入っていません。
4大ソースにしても5大ソースにしても、ワインベースのソースが1つも入っていないのはどうしてなのでしょう。

ヨーロッパも中世に入ると、当時ガリアと呼ばれていたフランスには、ブルゴーニュ、ボルドーといったワイン生産地が誕生していて、教会の神父や国王貴族から兵士農民に至るまでワインは飲まれていたし、料理にも調味料として使われていました。
ブッフ・ブルギニオン、コック・オーヴァンといった赤ワインの煮込み料理もこの時代からすでにありました。
そんな流れで考えると、ワインベースのソースも当然それぞれの地方で何種類も作られていたでしょう。
古典的フランス料理のかたちが定まり、さまざまなソースが作られるようになるのが18世紀。
その300年以上前の話しです。
しかるに4大ソース、5大ソースにワインベースのソースが1つも入っていないのは大きな謎です。

これまでアルマンドソースとエスパニョールソースを作る際、その味の中核となる出汁をブイヨンと呼んでいましたが、「ブイヨンはスープになる出汁で、ソースに使う出汁はフォン。」というご指摘がありまして、そのとおりでございますが、ソースの出汁をとるのをを簡略するために市販のブイヨンを使うことは間違いではないようです。ただ、今回はやはり市販品を利用しますが液体のフォンドボーを使うことにしました。
やはり市販品そのままではなく、2倍に水増しし、いくつかのミルボア、ハーブを入れて、再び1/2の量になるまで煮詰めておきました。

マリネした牛もも肉をフライパンで表面に焼き色をつけた後、オーブンでローストします。

さあ、ソースの仕上げです。
刻んだエシャロットをバターでサッと炒め、そこへ赤ワインを投入。白胡椒をつぶしたものとタイムひと枝を入れて煮詰めます。

シノワで漉した後フォンドボーを注ぎ込む。これをさらに煮ます。

最後にブールマニエ(溶かしたバターに小麦粉を練り合わせたもの)を使ってトロミをつける。

ほら、良い感じにお肉も焼けました。

基本、人は生きるために食べます。しかし一部の人は食べるために生きる。
私はもちろん生きるために食べる人間ですが、それにしては食べるものにいささか注文が多い。
まあ、そういう人は大勢いますよね。
しかし、アントナン・カレームもエスコフィエも、そして彼らの料理を食べる人も、ごくごく一部の「食べるために生きている」側の人達です。
たとえば、ルイ14世のためにベシャメイユ公爵が考案した、ベシャメルソース。
4大ソースにしても5大ソースにしても、それは基本的には「食べるために生きている」側の人達のものなのでしょう。

ところがソース・ヴァン・ルージュは、それより遥か昔から作られ食べられてきた。
しかも神父や王侯貴族ばかりではなく、一般の、いわゆる「生きるために食べる人達」ではあるが、食べることにちょっと注文の多い人にまで広がっていた。そういうソースになっていたのではないでしょうか。

これほど有名でありながら、4大ソースにも5大ソースにも入っていないソース。
ソース・ヴァン・ルージュの謎。
少し酸っぱいけれど、お肉の脂と合わさるともの凄くおいしい。

 

takahash  2016年4月26日 09:51

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takahash

演出家(CM・映像)

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