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コーナータイトル

料理心を詰める、レタス ファルシ。

家でたべるの ファルシ  レタス  詰める 

ファルシあるいはファルスというのは、肉や鶏、魚、野菜などの中に別の食材を詰めた料理をいいます。
歴史は古く、紀元前からあった調理法で、もともとはジビエの腹を割いて内臓を取り出し、そこに穀物や野菜、肉などを詰めて調理したのですが、シンプルに肉の塊を焼くだとか、大鍋のごった煮(ポタージュの原型)などと比較しても、はるかに調理に工夫があるし、食べるときの驚き、喜びも大きかったことでしょう。
世界最古の料理本といわれる古代ローマの「アピシウス」の中に、鶏のファルシ、兎のファルシなどがあります。
時は流れて16世紀。新大陸から新しい作物がヨーロッパにもたらされると、トマトのファルシ、ピーマンのファルシができました。肉や魚に野菜を詰めるのではなく、逆に野菜に肉を詰めたのです。
シューファルシというのはロールキャベツですね。そして今回ご紹介のレタスファルシも15〜16世紀にできました。
これはファルシと言っても、もう詰めてはいない。包んでいます。
トマト、ピーマンと違ってキャベツやレタスは紀元前からヨーロッパにありましたが、包む、包んでブレゼ(蒸し煮)するという調理法が、この時代、トルコからヨーロッパにもたらされたらしい。
面白いことに、トルコでの、この料理法はドルマと呼ばれていますが、ドルマも詰めると言う意味だそうです。

もともと紀元前の乏しい調理器具でも、人を驚かせるほどの料理になるファルシでしたが、レタスファルシに至っては、さらに手のこんだ料理になっています。いろんな調理器具を使いますし、プロセスも複雑です。
「ああ、お腹が空いた、何かない?」や「家にあり合わせの材料」で作る料理ではありません。
「さあ、料理するぞ」「おいしいものを作るぞ」と思って作る料理なのです。

まず、レタスの中に詰めるもの(ファルス)ですが、シャンピニオン(マッシュルーム)が味の決め手になります。そこにタマネギ、エシャロット、ニンニク。すべてをみじん切りにします。

 

今回はフードプロセッサーを利用しました。あっという間にみじん切りです。
バターで炒めます。これをデュクセルと呼びます。

エスコフィエ大先生の料理本では、つなぎはパンをバナードしたものとなっていますが、パン粉で代用。
よく冷ましたデュクセルとひき肉とパン粉を混ぜ合わせながら捏ねていきましょう。

レタスの準備をします。芯のまわりに包丁を入れて、くり抜いてしまいます。

芯をくり抜いたレタスを沸騰した湯に入れると、葉の一枚一枚が自から広がってきます。冷水に晒して、その後水気を取る。

 

さあ、ようやく詰めるというか、包む工程です。一度湯に通したレタスの葉は意外に丈夫です。包むのに何の難しさもありませんが、葉の先を折り畳んで包むと、その後の工程で葉がバラバラしないで上手くまとまります。

もう一つ、今回の新兵器はビタクラフトのダブルグリル。これを使うとオーブンで40分以上かかっていたブレゼが、15分ぐらいで出来上がりです。隙間なくレタスファルシを並べて、さらに空いたスペースには付け合わせのカブを一緒に並べて調理してしまいます。ここにブイヨンを注ぎ入れます。蒸し煮をするのに水を使うとファルスの旨味が水の方へ流れ出てしまいます。ブイヨンで蒸し煮するから逆にファルスの方に旨味が染み込むのです。それがブレゼ。レタスファルシが半分浸かるぐらいブイヨンを注ぎます。鍋の中は隙間なく並べているからレタスファルシも、カブも、泳がないですね。

ブレゼして15分経ちました。蓋を開けると、湯気の中からおいしそうなレタスファルシの姿が見えてきます。

赤ワインとトマトをベースにしたソースを皿に敷いて、その上にレタスファルシ。付け合わせのカブも盛りつけました。

ブレゼされたレタスの葉は薄くて中が透けて見えます。綺麗ですね。ナイフを入れると柔らかい、でも形が崩れない。良い香り。シャンピニオンの旨味が利いたファルスが絶品です。

レタス ファルシ。
作るのはちょっと手間がかかるけれど、食べればきっと満足します。
遥か2000年以上の昔から連綿と続いている、人間の「料理心」を詰めこんだファルシです。

 

takahash  2016年6月21日 10:58

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takahash

演出家(CM・映像)

TV広告を作り続けて30年。世界を食べたつもりが世界に食べられたのかもしれない。
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