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コーナータイトル

クネル、クネレバ、クネラナイ。

家でたべるの クネル  リヨン  白身魚ブロシェ 

「ええっ、世の中にこんなに美味しいものがあったの?!」初めての美味しさに出会うとビックリするし、感動もする。
とは言っても、それは希少な食材を、高級なレストランで、芸術的に作り上げられた美味しいもののことだけを言っているのではない。じつはそんな高級なものはあんまり食べたことがないのだ。自分にとって初めて口にする食材や今まで経験したことのない調理法によってもたらされた美味しさのことを言っている。同じじゃないかって?いやいや。例えば、子供の頃初めて経験したコカコーラやマクドナルド、地方を旅して知った郷土料理の数々、仕事で海外出張して、食堂みたいなところで食べたその土地の伝統料理。そういう美味しいもののことを言っている。

ハーブを意識して使うようになったのはいつごろからだろう。初めてオリーブオイルを使ったとき、その独特な香りに戸惑ったものの、今では毎日使う調理オイルはオリーブオイルになっっている。
ひと口食べてあまりの美味しさに感激することもあるが、始めはちょっと抵抗があって、それがだんだん慣れてきて、いつのまにか虜になっているということがある。
いずれにしても、初めての美味しさに出会うということは、人生の中で最も幸福なことのひとつだと思う。

調理器具の歴史の本を読んでいて「クネル」という料理を知った。フランスのリヨンの名物料理らしい。
クネルを食べたことがない。リヨンには行ったことがない。
調べてみると「クネル」は、かなりのもののようだ。
ローヌ川で獲れるブロシェ(カワカマス)という名の白身魚をすり身にして、バター、小麦粉、牛乳、卵を混ぜ、スプーンでクルリとラグビーボールを小さくしたようなカタチにして、これをクネルと呼ぶんだが、それを茹でてからソースと共にオーブンで焼いた料理。
食べたことのある日本の人が言うには、はんぺんのような、ムースのような食感、ソースアメリケーヌがよく合って絶妙の美味しさ。リヨンではブションと呼ばれるビストロで提供される伝統料理。

う〜ん。食べてみたい。これはきっとこれまで私が経験したことがない、初めての美味しさに違いない。よし、作ろう。クネルを作ろう。

ブロシェは手に入らないので今回は海の魚、舌平目のフィレを使う。白ワインで洗って臭みを消して、フードプロセッサーに卵白とともに投入。

バター、小麦粉、牛乳、卵を練った生地に舌平目のペーストを混ぜ込む。今回はここが難しかった。小麦粉の生地の方は練っていて手が痺れるほど固めだったのに、舌平目のペーストに加えた白ワインの量が多過ぎたようで、ゆるくなりすぎてしまった。海外の調理の写真を見れば、生地をスプーンでクネルの形にまとめるとき、生地はちょうど日本の練り餡ぐらい、あるいはマッシュしたポテトぐらい。なのにこれはゆる過ぎて形になってくれない。小麦粉を足したり、再び熱を入れたり、泣きたくなる。

このクネルを一般的にはお湯で茹でるのだが、今回はただのお湯ではなく、あらかじめクールブイヨンを作っておいた。手間をかけている。

なのにクネルがゆるい。5分。沸き立つクールブイヨンの中でクネルが崩れていく。

かろうじてクネルの形をとどめているものをバターを塗ったグラタン皿に並べて、ソースアメリケーヌ(今回は市販品。自分では作れなかった)をかけて、さらにグリュイエールチーズを削ってかけた。これを180℃のオーブンで10分。

なんとか完成。見た目は悪くない。実際食べてみれば舌平目の旨味も、バターやチーズの味わいもあって濃厚で美味しい。これは期待していた新らしい美味しさだ。ただ、やはり柔らか過ぎかな。はんぺんとムースの間ぐらいと聞いていた食感は、今回ほぼムースだった。なにせ本物を食べたことがないのにネットで資料をかき集めて、それを参考に作ったのだからやむを得ないか。クネル、クネレバ、クネラナイ。

神楽坂にリヨン料理の名店があると教えてもらった。そこへ出かけて本物のクネルを食べてみようと思う。

 

takahash  2016年9月13日 09:34

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takahash

演出家(CM・映像)

TV広告を作り続けて30年。世界を食べたつもりが世界に食べられたのかもしれない。
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